GE不正会計も闇深そうだわ

GE不正会計も闇深そうだわ


GEが「エンロンワールドコムの不正会計よりも重大」な問題を隠ぺいしていると指摘した。

 GEは財務報告に偽りはないと反論し、GE株の下落に賭けているヘッジファンドからマルコポロス氏が支払いを受けていると主張した。

 

 GEのラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)は報告書について、「市場操作」だと一蹴。監査委員会トップのレスリー・サイドマン氏はCNBCに対し、報告書は「誤解を招くような不正確で扇動的な文言であふれている」と語った。

 だが実際は、マルコポロス氏の経歴とGEの最近の業績、そして株式市場全体を取り巻く不安が重なり、マルコポロス氏の主張は重みをもって受け止められている。GE株は15日の取引で11%超急落し、一日の下げ幅としては金融危機以来の大幅安を演じた。同社株は今月に入り、前日までに14%近く下落していた。ここ2年で大きく値崩れしている背景の大部分は、財務報告で見えにくい情報に不意打ちされることへの不安に関係しているかもしれない。

 報告書はGEの遺産である保険事業に最大の問題があると指摘している。今すぐ185億ドルの追加現金が必要で、新たな会計基準の下で長期介護保険引当金を拡大するため、2021年までに105億ドルの費用を計上することになるとの見方だ。GEは既に、今後7年で計150億ドルの引当金計上が必要と発表しているが、それにこうした費用が加わることになる。

 マルコポロス氏はさらに、GEの出資比率が50%をわずかに超える油田サービス大手ベーカー・ヒューズも問題視している。同社への投資について90億ドル超の損失を計上し、「あくまで投資」と表明すべきだという。GEはこれまでに、持ち株比率を50%以下にすればベーカー・ヒューズの決算を連結対象として報告する必要がなくなることを明らかにしている。そうなれば会計上の損失が発生する可能性があるが、米証券取引委員会(SEC)に提出された「10-Q」報告書によると、ベーカー・ヒューズへの投資に関する含み損は7月24日時点で約74億ドルとなっている。これに加え、株式を追加売却すれば資金が手に入る。

 マルコポロス氏の報告を受けて急落するまで、GE株は業績の回復待ちだった。株主が再建に自信を持てるようになるには、中核の工業部門が数四半期連続でプラスのフリーキャッシュフローを創出できると証明する必要がある。GEは同部門の調整後フリーキャッシュフローが2019年通期でマイナス10億ドルからプラス10億ドルの範囲になるとの見通しを示している。ただし、カルプ氏や前任者の下で資産売却が進み、資金を調達したことからキャッシュフロー改善の切迫感は弱まっている。

 マルコポロス氏の主張の大半は、GEの財務諸表を巡って取り沙汰されてきた懸念を蒸し返す形となっている。GEは保険部門や電力部門の会計処理についてSECと米司法省の調査を受けている。

 一方、GEに対する投資家の主な懸念はもっと凡庸だ。売上高で同社最大の航空部門は、フランスの防衛大手サフランとの合弁事業を通して、運航停止となったボーイングの小型旅客機「737 MAX(マックス)」の唯一のエンジン供給元となっており、逆風に見舞われる恐れがある。そのうえ、GEの全事業の推進力である世界の経済成長は揺らいでいる。とはいえ、GEがほとんど公表済みの一連の会計問題をエンロンなどの露骨な不正と同等に扱うのは扇動的だ。

 ただ、企業のバランスシートに圧力が掛かれば、世間の見方が現実になることはある。GEは昨年、社債が急落した。同社は100年以上にわたって同じ監査会社を使っていたが、ここへ来て新たな監査会社を起用する圧力に直面しており、最高財務責任者CFO)も探している最中